鋼の教えと 闇を司る魔

日記と映画メモ

ONE D&D Player's HandBookのデータを読む話

One D&Dのプレイテスト用データとして、プレイヤーズハンドブック(PHB)が公開された。
PHBはプレイヤーがキャラクターを作成したり、実際のゲームでの判定方法などがまとめられている。今までのデータとあわせて、モンク以外のデータがおおよそ出そろった。
データはこちら(要登録)。

https://www.dndbeyond.com/sources/one-dnd

 

いくつか魅力的なデータ(魔法使いが魔法をアレンジできる!)はあるが、その中でも特に目を引いたのは武器データの変更。
今回の変更で、各武器に”マスタリ”の項目が設定され、一定の条件を満たすとこの能力を使用できるようになった。
実際ゲームを遊ぶ時にいちばん大きな影響を与えそうなため、どんな能力なのかをまとめてみる。
以下、能力などをメモする。

 

(マスタリを使うための条件)
マスタリを使用するためには、Weapon Masteryの能力を習得する必要がある。
現時点での修得方法は、大きく以下の3種類。

・ ファイター 1Lvで修得  3種類の武器のマスタリ

・ バーバリアン 1Lvで修得 2種類の武器のマスタリ

・ Weapon Masterの特技/Featを修得 ひとつの武器のマスタリ

ファイター、バーバリアンと同じ”Warrior(戦士系)”のカテゴリに分類される、モンクがどうなるかは不明。おそらく、同じように幾種かのマスタリがもらえるのではないかと思われるが……

これらのマスタリは、個別の武器1種につきそれぞれ設定する。
例えば、”ダガー”のマスタリ、”ロングソード”のマスタリ...…というように。
また、マスタリは大休憩/Long Restごとに再設定できる。前回まではロングソード・マスターだった人が、イマイチだったから…とか、新しく魔法の武器を手に入れたから…などの理由で、気軽にダガー・マスターとかに切り替えることができる。
GMの負担が減るし、プレイヤーも対応しやすく、けっこう便利。

 

(マスタリで使用できる能力)
マスタリで使用できる能力についてまとめる。
正確には、各マスタリ能力ごとに ”近接武器で” ”重量があって”…のような条件が書かれているが、現時点では武器リストにすべて記載されているのであまり気にしなくてもよさそう。
(マスターがオリジナルの武器を出したり、既存の魔法の武器に能力をあてはめる時のための基準か)

クリーブ/Cleave
薙ぎ払い
近接武器攻撃が命中した際、5Ft以内の別の対象に再度攻撃判定を行うことができる。
命中した場合、ダメージを与えることができるが能力値ボーナスを加えることはできない(ボーナスがマイナスの場合は減少する)。
この効果による追加攻撃は、1回/ラウンドまで。

 

フレックス/Flex
臨機適応
片手でのみ装備していた時(片手に武器、逆手に何も持たない状態)、Versatileで示されているダメージを与えることができる。
(例:ロングソードなら、基本ダメージが1D8 → 1D10に増える)

 

グレイズ/Graze
擦り傷メイカ
この武器攻撃を使用して攻撃を外した時、命中判定に使用した能力値ボーナス分のダメージを与えることができる。ダメージ種別はその武器と同じものになる。
この効果で与えるダメージは、能力値ボーナスのみ(スニーク、バーバリアンの激怒などの追加はできない)。

 

ニック/Nick
刻み攻撃
軽武器(Lightカテゴリの武器)を使用して追加攻撃/extra attackを行う際、ボーナスアクションを使用せず攻撃アクションの一環として行うことができる。
この効果による追加攻撃は、1回/ラウンドまで。

 

プッシュ/Push
突きとばし
武器攻撃が命中した際、攻撃者から離れる方向に10Ft移動させることができる。
攻撃者より、1段階おおきい対象まで効果がある。

 

サップ/Sap
なぐりたおし
武器攻撃が命中した際、攻撃を受けた対象は次の(1回の)攻撃は”不利”扱いとなる。
この効果は、攻撃者の次のターンの開始時まで持続する。

 

スロウ/Slow
遅延化
武器攻撃が命中し、ダメージを与えた時、攻撃を受けた対象の移動力を10Ft下げることができる。
数度攻撃しても、この効果が重なることはない。

 

タップル/Topple
ダウン攻撃
武器攻撃が命中した際、対象を伏せ状態にすることができる。
攻撃を受けた対象は、耐久力で DC:8+習熟ボーナス+攻撃に使用した能力値ボーナス のセーヴィングスローを行う。失敗すると、対象は伏せ状態になる。

ヴェクス/Vex
イラつかせ
武器攻撃が命中し、ダメージを与えた時、攻撃を受けた対象に対して次の(1回の)命中判定に有利を得ることができる。
この効果は、攻撃者の次のターンの開始時まで持続する。

 

(各能力を使うとどうなるか?)
マスタリを持ったキャラクターが攻撃するたび、なんらかの追加効果が発生する。
つまり、今までは
 命中判定 → あたったかを確認 → ダメージを決める → 対象のHPを減らす
……の流れだったのが、最後に追加の効果のチェックが入る。
そのため、行動の処理に時間がかかるようになる。
ひとつひとつの行動の処理に時間がかかると、全体のプレイ時間が長くなることにつながる。時間が長くなると、ゲームとしてはダレる。データ的には面白いが、ゲーム的にはイマイチ。
データと、処理にかかる時間とを、うまくバランスの取れた形に整えて欲しい。

(実際に使うと、どの程度の影響があるか?)
能力により、かなり効果に差がある。

例えば、フレックス/Flexの効果はダメージダイスが1段階変わるが、実質的な効果はダメージが1点伸びることに近い。
(ロングソードの1D8の期待値は4.5点、1D10の期待値は5.5点。クリティカルでダイスが2倍に増えても2点差でしかない)
装備のしかたに制限があるのに、他の効果に比べるとかなりおとなしく感じる。フィートを組合わせると、何らかの伸びしろがあるんだろうか……?

いくつかの能力のなかで、自分が特に効果をあげそうと感じたのは以下の3種。
・ニック/Nick
・プッシュ/Push と スロウ/Slow
・グレイズ/Graze

 

ニック/Nickでできそうなこと
3回攻撃
二刀流のルールが微妙に変わっており、武器の特性である軽武器/Lightに集約された。
軽武器/Lightの特性は、以下のとおり。
 ・ 軽武器が命中した時に、追加攻撃/extra attackをボーナスアクションで行える
 ・ 追加攻撃は、別の軽武器でなければならない
 ・ 追加攻撃のダメージに、能力値ボーナスを加えることはできない(ボーナスがマイナスの場合は減少する)

つまり、1回目の攻撃/右手の軽武器 → ボーナスアクションで2回目の攻撃/別の軽武器という流れになる。
ニック/Nickは2回目の攻撃をボーナスアクションを使用せずに行える。この2回目の攻撃も軽武器で行うため、もう一度追加攻撃の機会を得ることになる(軽武器の追加攻撃に、1回/ラウンドの制限がないため)。
3回攻撃を行うと、例えばシミター(1D6ダメージ)を使うと、3回とも命中するとして3D6+能力値ボーナスのダメージを与えることができる。
専門なら能力値ボーナスが+3程度あるはずなので、3D6+3/期待値で13点ぐらい。

なお、戦士系などが1Lvで修得できるフィートのFighting Style:Two Weapon Fightingを習得すると、追加攻撃にも能力値ボーナスを追加できる。
その時は3D6+9点/期待値で19点。
バーバリアンの激怒(+2/25点)や、レンジャーのハンターズマーク(+1D6/29点)を追加するとさらにダメージが伸びる。
ラウンド毎の回数制限のないダメージ増加は怖い。しかしホントーにここまでダメージが出るのか、コレ……?

なお、追加攻撃は”別の”軽武器なので、フィートなどで武器の準備に行動を使用しないなら片手だけで3回攻撃できるはず(要確認)。盾を構えたり、呪文を使うために片手を開けたままにできるならば非常に便利。
(もしかすると、differentは”別種類の武器”≒逆手に別種の武器を装備する意味で書いているのかも?だとすれば、another typeとかに書きぶりを変えてくれたほうがわかりやすいが……)

 

プッシュ/Push と スロウ/Slowでできそうなこと
状況次第なものの、移動ハメ
10Ft移動させ、10Ft移動力を下げる。加えて、移動させる能力はラウンド毎の回数制限もないので、攻撃回数が増えると移動と組合わせて相手をドリブルすることもできる。
今までは前線を維持する能力が低めだったが、この能力をうまく使うと後衛に敵が進むのを阻止しやすい。
なお、間合い武器であるパイクでも使用できるので、フィート/長柄の達人と組合わせると近づいてくる相手を機会攻撃で押し返すこともできる。

グレイズ/Grazeでできそうなこと
他の2つの能力と比べると地味だが、攻撃を外しても3-4点のダメージを与えることができると考えると魅力的。
マジックミサイル1本が1D4+1点なので、削り能力としては破格。
ただし、使用できる武器がかなり限定される(現時点で、グレートソードとグレイブのみ)のが難点。

(結局は……)
色々書いてみたが、結局は自分の好みの武器を使うことになるだろう。
ただ、武器間のデータ差だったり、他の能力と組合わせた時の伸びしろだったりと、データの整合が取られているか疑問に思う点も多い。
さらに、特技や能力名が一部被っているところもあるが、そのあたりの整合もおいおい取られるのだろう。
プレイテストが終わる半年後には、どのクラスも、能力も魅力的なものになることを祈っている(祈るしかない)。

あと、ドルイドのデータは早急に見直してほしい(繰返し)。
これだけ周りが変化しているのに、何も変化がない(穏便な言い方)のは厳しいですぜ……なぁ、ローグさんもそう思うだろ……?