鋼の教えと 闇を司る魔

日記と映画メモ

2023年に観た映画

2023年に観た映画で、印象に残ったものをメモする。
書きおこすもの以外にも結構観ている。例えばアステロイド・シティとかも楽しく観て、印象に強く残っているのだけれども、あの映画を自分の言葉で整理できるほど消化できていない。
自分が言葉に残せるものを、書きおこしていきたい。

 

《シン・仮面ライダー
コレを映画というのか、いまだに悩んでいる。
いちばん初めの仮面ライダーのリメイク作だが、映画というよりも30分のテレビ番組を4本続けて見た感覚がいちばん近い。
それでもテレビ画面サイズで見るよりも、スクリーンで観るのがいちばんシックリくる。またどこかの映画館でかかることがあれば、フラッと見に行ってしまうだろう。
そういう不思議な画面の魅力を持った映画だった。
次回作が楽しみでしょうがない。

 

アラビアンナイト 三千年の願い》
正直、ティルダ・スウェントン…”ティルダ様”目当てで観に行ったのだけれども、映像の美しさに心を奪われた。
ジンの語る幻想的な世界ももちろんだけれども、空港、講演しているホール、バザール、そしてホテルの部屋。すべての画面の色味と構図が、気持ちいい。
正直、話自体はハッキリしないことが多い。アリシアの行動原理は何か、なぜジンは数奇な体験をしつづけたのか、そもそも、ジンは存在したのか?
ジン自体は現実には存在せず、アリシアの内面が具現化された世界とも見ることはできる(アリシアのクセ/貧乏ゆすりとかは、ジンの話中に登場する各キャラクターに細かく反映されている)。
でも、そんなことは些末なことでしかない。よくわからないから面白い。面白いから、何度も繰り返し観てしまう。
これをミニマムな言葉で語ってしまうなら、愛のひとつの形なんだろう。
不思議と落ち着く映画で、これからも時々、思い出したように見返すだろう。

 

ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り》
ついにD&Dが映画になった!(実際は4回目)
今までの3作はゲームに寄せていたが、今回は映画に寄せていた。
映画の文法に、細かいギミックとしてゲームの世界観や用語、魔法や能力、モンスターなどが上手くはめこまれている。
正直、画面はチープだ。同じ”ファンタジー”枠のLotRハリー・ポッターと比べると、セットや衣装は数段落ちて見える。
でも、これが「今回のDMの提供するゲームの世界」だ。(DM:ダンジョンマスター。D&Dのゲームを遊ぶ際の監督みたいな存在)
チープでもすべてがまとまっており、登場するキャラクターがその世界で生きることを楽しんでいる。
これはゲームでいちばん重要なことで、映画でもその思いが強く伝わってくる。
ゲームを遊んだことがある人にはもちろん、はじめて知る人にもオススメできる映画。

《ザ・フラッシュ》
ヒーロー映画のひとつ。
いまや数多くのヒーロー映画が作られているが、極論を言ってしまうと、ヒーロー映画にはある程度の決まった文法がある。
それは、「ヒーローが困難に出会い、なんやかんやで解決する」こと。
しかし、この映画は違う。解決しない。
なんなら、ヒーロー自身の手で、解決しないことを選ぶのだ。
今作のヒーローであるフラッシュは、高速で移動する能力を拡張しつづけ、ついには時を移動する能力を手に入れる。
そこで、過去に戻り、自身の母親が殺害される事故を回避できないかを試行錯誤する。
これが今作での”困難”だが、先述したようにフラッシュは解決できない。
時を戻し、過去を変えることで他の事柄が歪み、つじつまが合わなくなっていく。チャレンジを繰返すのだが、諦めることが最も正解に近いと気がつく。
結果として、フラッシュは母を救えなかった世界に戻ることを、自身の手で選択する。
…こんなヒーローものがあるだろうか?あるていど何かを解決できたように見せているが、その実ヒーロー自身に大きな傷を残し、それを受け止めて支えてくれる人も居ない。
はやく、この映画の続きを観たい。彼の困難を、誰が、どうやって取除くのか、楽しみに待ちたい。

 

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル》
年老いて、定年を迎えるインディ・ジョーンズが最後の冒険に出かける話。
物語の最後、インディは時を超え、古代ギリシアの戦争(ポエニ戦争?)の地に降り立つ。なんなら、アルキメデスと対面する。
そこで「ここに残りたい」と渇望するインディの気持ちが強くわかり、泣きながら映画館を後にした。


トランスフォーマー/ビースト覚醒》
ロボットヒーローものの、新シリーズ。
クライマックスのやりとり、
「やめてくれ、なんでも望むものをやるから!」
「おまえの命だ!!!!(被せ気味の玄田哲章ボイス)」
…で、なんかしらん感情でボロボロ泣かされた。
ありがとう、玄田哲章。あなたのおかげで、これからもすこしだけ強く生きていける。

 

《マーベルズ》
これもまた、勝ってもいないし負けてもいない、不思議なヒーロー映画。
MCUらしく、他の作品に続くフックの多い作品なので、残った問題は他の作品で解決されるんだろう。
今作で集まって、意志をつないだ3人のヒーローが、どんな形でまた集まるのかが楽しみ。

 

===
こう見返すと、見ごたえのあるアクションものが増えたな、という印象。


ちなみに、もっとも見返した映画は「ドクターストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」。
2022年のヒーロー映画だが、濃厚サムライミ節でサムライミの新作映画としか言いようがない。
そして、これもオチが非常にヘビー。子供を求める親に、子供からの拒絶を与えて正気を取戻させるという、これ以上ない悲しい結末を迎える。
それでいて不思議なさわやかさがあり、何とはなしに見返してしまう。